いよいよ私たちは生産性の高い企業しか生き残れない時代の入り口にたってしまった

ブログ0824
今朝日経新聞3面のほぼ半分を埋め尽くした記事「最低賃金25円アップ」。この7年間で100円以上引きあがっているとのこと、人件費の上昇で、今後のコスト上昇に警戒感を示す企業も少なくありません。中小企業では、人口減と景気によるものもあり、すでに人材確保に苦戦しているところが多い、という肌感覚をもっています。

企業のコンサルティングをしていて、当たり前のことなのですが企業は人材によって成り立っていることをひしひしと感じます。経営陣の頭の中でいいことを決めても、それを実行し、お客様に最前線で接する人たちがその意図を汲み取りそれぞれのパフォーマンスを発揮してもらえてはじめて売上利益につながっていく。モノを売るにしても、そこには必ずどこかでヒト、あるいはヒトの考え、言葉が介在します。

そんなことを思って新聞を読み進めると、社会面に厚労省からの「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の広告が。第一印象は「こんなに早くでてくるとは」でした。というのも、先日、厚労省からのとある報告書を読んだばかりだったからです。

■「働き方の未来2035」の提言がすぐに実行に?
8月のお盆明け、厚労大臣がメンバーを参集した懇談会「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」から報告書が出ています。主たる内容としては、まず2035年の社会を3つの観点から概観し、それを受けて、一人ひとりが輝く2035年における「働き方」、「制度のあり方」、「生涯教育のあり方」、を示し、最後に7項目の「2035年に向けての提言」が書かれたものです。

最後の7つの提言の5つ目に、「働く人が適切な働き場所を選択できるための情報開示の仕組み」というのがありました。この中に、「会社ごとに労働条件のみならず、働き方に関する『基本姿勢』を明示することが求められよう」という一節があります。すでに女性活躍推進法で一部この開示の動きは始まっているので、この流れにそって何かできあがってくるのかな、と思っていました。そこへ、1週間たってすぐに生産性の高い企業を表彰する制度が出てきたので、政府の本気度を感じざるを得ませんでしたし、それは歓迎すべきことだと考えています。

■すでに人材確保が難しくなってきている中小企業こそ積極的にチャンスにすべき
現場でコンサルティングをしていると、「よりよい人材を確保する」ということがますます難しくなってきていることを感じます。解決のためには、いかに魅力的な企業であり続けるかということ、そしてそれをいかにわかりやすく外部開示していくかという2側面からクリアしていく必要性があります。外部開示に関しては、政府の活躍推進法や今回出た表彰制度など以外にも、各自治体で働きやすさに関する取り組みをしている企業を表彰する制度がたくさん出てきていますので、中小企業こそこうしたものを積極的に利用するのがおすすめです。

魅力的な企業であり続けるためには、一人ひとりの力を最大限に発揮できるような職場づくりを本気でしていかなければなりません。最低賃金があがったなら、それ以上に、どんなふうに労働生産性を上げて売上を伸ばしていくのか、余計な残業をせず、既定の時間の中でいかにモチベ―ションをあげて成果を出してもらうのか、具体的な仕組みと実行する方法を考えてトライアンドエラーを繰り返して精度を上げていく、そういう個別具体的なところにこれからもコンサルティングでは注力していきたいと思います。